「点呼」と聞くと、トラックの会社で運行管理者と運転手が向き合って行うもの、というイメージがあるかもしれません。2025年4月からは、軽貨物(黒ナンバー)の事業でも、点呼が安全のしくみのひとつとして求められるようになりました。
この記事では、乗務前・乗務後の点呼で確認すること、記録に残す項目、そしてひとりで仕事をしている人が無理なく続けるためのコツを紹介します。
点呼とは
点呼は、走り出す前と、仕事を終えたあとに、安全に運転できる状態かを確かめて、その結果を記録することです。お酒が残っていないか、体調はどうか、車に異常はないかを、決まった順番で確認します。
2025年4月からの安全対策で、軽貨物の事業者は「貨物軽自動車安全管理者」を選ぶことになり、その役目として点呼などが挙げられています。決まりの全体像は記録義務化の解説にまとめています。
点呼の目的は、記録を作ることそのものではなく、「今日は安全に走れるか」を毎日きちんと判断することです。記録は、その判断をしたことの証拠になります。
乗務前点呼で確認すること
乗務前点呼は、その日の仕事で車を走らせる前に行います。おもに次の4つを確認します。
1. お酒が残っていないか
アルコール検知器(アルコールチェッカー)を使って確かめるのが基本とされています。数値だけでなく、顔色・におい・声の調子などもあわせて見ます。前の晩に飲んだお酒が、朝まで残っていることもあります。
2. 体調は大丈夫か
病気やけが、疲れ、睡眠不足などで、安全な運転ができないおそれがないかを確かめます。飲んでいる薬で眠くなることがないかも確認しておきましょう。
3. 日常点検をしたか
ブレーキ・タイヤ・ライトなど、その日の日常点検を済ませたか、異常はなかったかを確認します。
4. その日に気をつけること
天気、道路工事、時間指定の荷物、はじめて行く地域など、その日に注意することを確認します。雨や雪の日は、出発の時間にゆとりを持たせる、といった判断もここで行います。
お酒が検知された、熱がある、ひどく眠い。そんなときはその日は走らないと判断することも、点呼の大切な役目です。早めに契約先へ連絡しましょう。
乗務後点呼で確認すること
乗務後点呼は、その日の仕事を終えたあとに行います。疲れていると省きがちですが、次の日の安全につながる大切な確認です。
- お酒が残っていないか:乗務後もアルコール検知器で確かめます。
- 車の状態:走っていて気づいた異音・におい・警告灯・ハンドルの違和感などがなかったか。
- 道路や運行の状況:事故やヒヤッとしたこと、通行止め、大きな遅れなどがなかったか。
- 疲れの具合と、次の日への申し送り:疲れが強いときは、次の日の始まりを遅らせるなどの調整も考えます。
「ヒヤッとしたこと」を一言でも残しておくと、同じ場所や同じ時間帯の危なさに気づけるようになります。
記録に残す項目
点呼の記録には、たとえば次のような項目があります。くわしい項目は国土交通省の案内で確認し、毎回同じ形で残すようにしましょう。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 日時 | 例:10月8日 7:30 |
| 点呼の種類 | 乗務前 / 乗務後 |
| 運転する人 | 氏名 |
| 点呼をした人 | 氏名(ひとりで仕事をしている場合の扱いは、運輸支局で確認) |
| 車 | ナンバー |
| 点呼の方法 | 例:対面 |
| お酒の確認 | アルコール検知器を使ったか、その結果 |
| 体調・睡眠 | 例:良好、睡眠6時間 |
| 日常点検 | 実施した、異常なし / 異常ありの場合はその内容 |
| 指示・連絡事項 | 例:雨のため出発を15分早める |
保存期間や必要な項目は、国土交通省・運輸支局の案内で確認してください。
ひとりで働く人の点呼のしかた
ひとりで事業をしている人は、自分が安全管理者を兼ねるのが一般的です。つまり、自分で自分の状態を確かめる形になります。人に見られていない分、つい省いてしまいがちです。だからこそ、次のように「決まった順番」で淡々と行うのがコツです。
- 車に乗る前に、アルコール検知器で測る
- 測った結果の画面を、スマホで写真に残す
- 体調・睡眠を、正直に記録する
- 日常点検をして、結果を記録する
- その日の注意点をひとつ書いてから出発する
契約の内容によっては、元請けの拠点で点呼を受ける場合もあります。自分の場合はだれがどのように点呼を行う扱いになるのか、運輸支局の案内や契約先に確認しておきましょう。
点呼を続けるためのコツ
- 時刻と場所を決める:「家を出る前」「車のエンジンをかける前」など、毎日同じタイミングにすると忘れません。
- 乗務後点呼は「車を降りる前」:帰宅してからだと忘れやすいので、最後の荷物を届けたあと、車の中で済ませる習慣にします。
- アルコール検知器の手入れ:電池切れや、使える回数・期間に注意します。予備の電池を車に入れておくと安心です。
- 前の晩のお酒をひかえる:翌朝の数値は、寝る前の量と時間で変わります。仕事の前の日は早めに、少なめに。
- 運転中には記録しない:記録は停車中か、乗務の前後に行いましょう。
点呼の時刻は、働いた時間を数える起点にもなります。働きすぎを防ぐ目安については拘束時間と休憩の考え方で紹介しています。
点呼でよくある疑問
アルコール検知器が少しだけ反応したら?
数値が小さくても、反応が出たときはその日は運転しない判断を基本に考えましょう。時間をおいて測り直せば数値が下がることもありますが、「下がるまで待てば大丈夫」と考えるのは危険です。契約先に早めに連絡し、記録には測った結果と、運転しなかったことを残しておきます。
仕事を休んだ日の記録はどうする?
車に乗って仕事をしない日は、点呼もありません。ただ、あとから記録を見返したとき、「つけ忘れた日」なのか「休みの日」なのかが分からないと困ります。休みの日は休みとわかる形にしておくと、抜けの確認がしやすくなります。
紙の記録とアプリ、どちらがいい?
大切なのは、決まった項目がそろっていて、求められたときにすぐ見せられることです。紙でもアプリでも、自分が毎日続けやすい方法を選びましょう。保存のしかたについても、運輸支局の案内で確認しておくと安心です。
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- 乗務前・乗務後の点呼を、法令に沿った項目で記録
- アルコールチェッカーの測定結果は、写真を添えて証跡に
- 「法令チェック」で、乗務後点呼などの抜けを日ごとに確認
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この記事は、軽貨物の仕事についての一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は見直されることがあります。くわしくは国土交通省・運輸支局・税務署の案内で確認してください。